高音質ヘッドフォンならAUDEZE『LCD-3 OPEN-BACK HP』レビュー

平面磁気駆動型ヘッドフォンというと中国メーカーのHIFIMANのARYAあたりがコストパフォーマンスが高く音質もいいと評判です。このメーカーの戦略はたくましく、開発費用が回収できたあたりから価格を下げてくるところにあります。DAC EF400にいたっては、私は発売当時8万円台で購入しましたが、現在は3万円台です。

ヘッドフォンにしても3割は平気で下げて、シェア獲得へと動きます。このあたりは日本メーカーとは違います。世界市場を見て一定の市場規模があれば、そこでのシェア拡大を行い確実な収益を得ようとします。アップルと同じ考え方です。

技術力や開発能力に関していえば、日本人よりかなり貪欲に取り組んでいることが製品を見て良く分かります。平面磁気駆動型は繊細な音を鳴らすことで有名ですが、薄型ゆえに扱いが困難でおそらく部品としての歩留まりもよくないと推察されます。

創業者のDr. Fang Bian(辺仿 / ビアン・ファン)が、コロンビア大学で化学の博士号を取得したオーディオ愛好家であるところに起因した拘りだと思います。

またDACにしても、現行のチップではないR2R型という古い技術に固執しているのも音に対する拘りです。私もR2R型の音質が好きなのでHIFIMANにしています。それでもHIFIMAN ARYAを買おうと思わなかった理由をご説明します。

  • ボーカルが後ろに下がって聴こえる
  • 解像度がイマイチ
  • 音場が狭い

自分の耳が東南アジアの人たちと違って欧米よりだとは思いませんが、HIFIMANの開発陣の聴覚レベルの問題があると思います。欧米人の方が耳がいいと言われるのは、多言語の習得は日本人よりも得意だということに表れています。言語を習得するには聴覚から入るのがいいとも言われています。

中国人の感じ方とこれから紹介する米国製AUDEZEのLCD-3では様々な点で大きく異なるからです。決して技術力が主たる原因ではないと考えています。

AUDEZE LCD-3の特徴についてご説明します。他のメーカーでは出せない音質です。

  1. 中低域がかなり分厚い
  2. 音場がかなり広い
  3. 高域が中低域に押されることなく、繊細かつ伸びやかであること
  4. ボーカルがモニター型ヘッドフォン程近くはないが、遠くもなくバランスがいい
  5. 録音状態の悪い音でも、かなりいい音で鳴らしてくれます
特性AUDEZE LCD-3HIFIMAN ARYA
再生周波数帯域10Hz~50kHz8Hz~65kHz
インピーダンス110Ω32Ω
感度103dB94dB
重量635g430g
特性の解説
  • 再生周波数帯域は広いほどあらゆる音を伸び伸びと鳴らすことができます。
  • インピーダンスとは抵抗値になるので、この値が小さいほど出力の低いアンプでも上手くならせます。
  • 感度とは、音圧を意味しこの値が大きいほど小さい入力音でも出力が高くなります。
  • 重量は重いと首や肩こりの原因となり長時間聴くことに苦痛を感じます。
どんな人に聴いて欲しいか
  1. 音楽にお金を使うことに躊躇いがない人
  2. どのヘッドフォンでも音質に差はないだろうと思う人
  3. これまで聴いたことのない世界観に触れたい人
  4. 何度もヘッドフォンの買い替えを行ってきた人、これがFINAL ANSWERになるでしょう
取扱い注意点

平面磁気駆動型ヘッドフォンは、どのメーカーのものであっても振動板が薄いので、ヘッドフォンを落下させてしまうと音が出なくなったり変な鳴り方になってしまいます。

ジャンルは問わない音質です。ZARDからカラヤン、コルトレーンまで力強く鳴らしてくれます。そしてとてもエモーショナルな音質でもあります。eイヤホンで試聴できますので秋葉原に行ってみてください。れーやんさんという方がAUDEZEに詳しい方です。私はその人の勧めで購入しました。

これまでに聴いたことのないサウンドで、この音に出会えて良かったと本当に思っています。

完実電気株式会社というのが日本の正規代理店になります。日本人が経営しているようです。eイヤホンや他店でも在庫がない場合が多いですので、正規代理店で買うのも手です。


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