Diana Krall名盤2選

ダイアナ・クラールを知ったのは、DSD関係を調べていたときに、『バット・ビューティフル』をDSDアップサンプリングの試聴用に使っていた音源を聴いて好きになってしまいました。

ジャズだからと言ってシナトラばかりではありません。YouTubeを通してアルバムの試聴をしましたが、評判のいいナット・キング・コールのカバーはいいとは思いませんでした。ウォールフラワーもオールディーズのカバーでどうして評価が高くなるのかは分かりませんが、クラールはやはりジャズを歌っているときが一番輝いています。

そんな彼女のアルバムの中で、とっておきの2枚をご紹介します。

This Dream of You

実質的な過去のアルバムに採用されなかった音源の中からチョイスされた曲集です。クラールが撮影した写真がアルバム・ジャケットに採用されました。結構私としては気に入っている写真です。

白と濃紺の組み合わせが印象的です。ギターは恐らくフルアコを使用していると思いますが、ピアノの方が曲調的には静かで吸い込まれそうな音です。激しくswingするものではないですが、ビル・エヴァンスの『Moon Beams』に近いです。オーケストラはないですが、シンプルでもしっかり心を惹きつけます。

売れた気配もないですが、じっくり聴ける傑作です。最近では活動しているのかどうか分かりませんが買って損のないアルバムです。女性ボーカルのジャズで何かが足りないと感じている人にはおススメです。

ザ・ルック・オブ・ラヴ

このジャケットの写真を見て綺麗な人だと思いました。そしてこのアルバムこそ彼女の人気を不動のものにしました。聴いて分かったのは、売れるものは売れるということです。

マンネリ化してくると飽きられて聴かなくなります。アーティストの短命なところです。このアルバムはオープニングにいきなり『パリの恋人』の主題歌『ス・ワンダフル』を持ってきているところです。

格調高いアルバムなんだろうと思い聴いているとその通りでした。2曲目の『ラヴ・レター』はエルビス・プレスリーが歌っているのを聴いて以来でした。オーケストラが広大でこの曲を否が応でも盛り上げてくれます。

UHQCDでの購入でしたが素晴らしい音質です。サブスクで物理的な音楽ソフトは、2030年には再生機器の生産中止から聴くことが困難になると予想されます。デジタルなのでCDであろうが通信であろうが差がないだろうと考えると思いますが、小さなところで音質は変化するものです。

過去のヒット曲が散りばめられていて、オーケストラが優美になっているので、クラールの太めの声と力強さが微妙にマッチして夜聴くのに最適なアルバムになっています。

『ベサメ・ムーチョ』はビートルズのLET IT BEセッションで聴いて以来なので、私にとっては文句のつけようがない選曲です。静かな躍動感があり売れるのも当然でしょう。こちらのアルバムもかなりおススメです。

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