Yes『ロンリー・ハート』90125比較レビュー

イエスは、1970年代を代表するプログレのバンドではあってもイマイチパッとしないバンドだった。しかしこの『ロンリー・ハート』の成功で評価が変わっていく。アルバム・タイトルの『ロンリー・ハート』は邦題で実際には『90125』。

このアルバムの制作とリリースにはドラマがある。イエスのメンバーから脱退者が相次ぎ残ったのはエイジアを結成することになるスティーヴ・ハウとジェフ・ダウンズ。バンドとしてやっていけないと判断し1980年事実上の解散。

1983年再結成されたイエスはアルバム『ロンリー・ハート』をリリースして完全復活を印象付けた。バンド史上最大のヒットになった。解散前に残った二人はエイジアを結成して1982年アルバム『詠時感〜時へのロマン』を発表し1,500万枚以上のセールスを記録した。

純粋なプログレだと難解さもあるので一部のマニアには受けるのだろう。どのバンドもポップな感じを曲調に入れるとヒットにつながるケースが多い。広く多くの人に受け入れられるのは、口ずさみやすいメロディーラインであったりサビがある曲なのだろう。

やはり人々の記憶に残りやすく口ずさみことで自発的になれている。クラシックやジャズは演奏者でもなければ基本は受け身で聴いているだけ。ロックやポップスは自分自身も歌ったり体を動かして表現できるのでファン層も多くなる。

あまり難しく考えることなくこのアルバムを聴いてみてください。プログレとポップスの融合でボーカルの不気味さがマイルドに印象に残る傑作である。

おススメの曲
  1. ロンリー・ハート
  2. アワ・ソング
  3. ハーツ

『ロンリー・ハート』ASIN ‏ : ‎ B00009Z570

2004年リリースのボーナストラックが6曲もついたアルバムで特別これといったリマスターは施されていない。しかしこの盤が一番聴きやすい。元々レコーディングでオーバーダビングし過ぎているのかもしれない。籠った感じの音は変わらない。

音圧が高くも低くもないので最後まで疲れることなく聴ける。コスパが高くイチオシである。

『ロンリー・ハート』ASIN ‏ : ‎ B0026A5TRQ

2009年にデジタルマスターを施し、SHM-CD盤でリリース。若干音質が鮮明になり同時に音圧も少し上がった。表現力の観点では特に良くなっているとは感じない。

また私は2013年にハイブリッドSACD盤を購入したが、音圧が高すぎて耳が疲れてしまうので現在は聴いていない。

『ロンリー・ハート』AUDIO FIDELITY

プレミア価格でありながら、リマスター効果が未だに分からない。細かい音が聴きやすくなった程度で感動する音質に変貌はしていない。中古市場にも出てこないが高いお金を払ってまで購入する価値無し。

YESのレコーディングはどのアルバムもボーカルの声質だけでなく籠っていて音に伸びがないのが残念。演奏の技術力があるバンドなのに録音で台無しになっている。よってYESのアルバムを購入する場合はハイレゾも含めて通常のCDで十分である。

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