デジタル音源が“アナログの艶”を取り戻す。Ampex ATR‑102で音質が劇的に変わった話

できるだけいい音質で聴きたいというのが私の考えで、ハードウェアを中心に可能な限り物量を投入したものを買うことにしていました。ソフトウェアは添える程度という考え方でした。それは、音はいじらない方が音質がいいと思っていたからです。同じ考え方のマニアの人たちも多くいらっしゃると思います。魔法の呪文のような言葉『原音に忠実に』。私もこの言葉に取りつかれていました。

カメラでいうと解像度が高くどれだけ鮮明な画像を描写できるかという点では、日本製のカメラは世界一だし世界シェアの90%以上を持っています。それでもカメラでは儲かっていないはず。むしろ技術的には劣っているドイツ製のライカの方がブランド力が高く高利益率だと思います。いち早くスマホのレンズにも採用され描写力で評価されています。ライカの哲学はスナップ写真を絵画のように写し出すだったと思います。この部分がファンを虜にし100万円以上もするカメラ本体、レンズも50万円以上でしかも基本は単焦点レンズの50mmが中心という狭い領域で長年評価されてきました。

音でいうとエンジニアではないので、何のために音楽を聴くのかと自分に問えば自ずと回答が見つかります。心が震えるかどうかの一点です。原音に忠実にという言葉に囚われていたら今のサウンドに出会えませんでした。JRiver Media CenterにVSTプラグインを3つ導入して聴くことにしました。当然音質劣化については心配しましたが杞憂に終わりました。

私の求める音
  1. レコードの音からスクラッチノイズをなくした音
  2. バイオリンの音の押し出しが強く艶やかな音
  3. 女性のボーカルのブレスの音まで聴こえる鳴らし方

JRiver Media Centerのプラグインとして使用

音楽制作者が使用するVSTプラグインのようですが、私はリスナーなので普段使用しているJRiver Media Centerにプラグインとして追加します。このソフトが初めてという人にはこちらの記事で確認してください。

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プラグインの購入先

初めての方もいらっしゃると思いますので、私が利用して問題がなかったそして安心して利用できるところは『Plugin Boutique Limited』になります。googleのアカウントでサイト登録をし、google payで決済しています。一度登録すると、バーゲンセールの連絡がダイレクトメールで来ます。今回のAmpex ATR-102もその中で見つけました。

購入サイト
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私が購入したプラグイン

ダウンロードから導入まで

TDR製のものはプラグインブティックから直接ダウンロードして導入・設定と簡単でしたが、『Universal Audio』のものは少し勝手が違います。ダウンロードまでたどり着くまで手間がかかります。新規に『Universal Audio』に登録してからのダウンロードとなります。下記のように2つのアイコンがデスクトップに表示されていますが、ライセンス管理が厳重です。

具体的なダウンロードまでの手順はAIを活用してください。自力では困難だったのでCOPILOTのWEB版(無料)のものを活用してなんとかできました。スクリーンショットを送ると適切なアドバイスをしてくれます。2回くらい迷った部分はありましたが無事に辿り着きます。決済が終わりライセンスコードの取得が完了していれば問題なくAIが導いてくれます。

プリバッファリングの設定

推奨値の6秒から10秒に変更します。プラグインとDSD64のアップサンプリングの観点からバッファーを増やさないと音飛びや窮屈な音になってしまいます。その代わりデバイスの設定にあるバッファリングは推奨値の100ミリ秒でいいです。

Ampex ATR-102設定方法

デフォルトのまま使用している部分については説明を省略し、音質変化について重要部分について説明していきます。

機能と効果

最初に大切なことをご説明すると、Ampex ATR-102とは仮想空間で録音・再生するソフトになります。今ではカセットテープに録音をしたことがある人は、私のような50代以上の人でないといないと思います。

操作していく上でとても重要な部分なので必ず押えてください。ただアナログの音にするソフトと考えるのではなく、テープに録音するときと同様に対応しないといい音が出ません。録音レベルが高いとテープが飽和状態になってしまい歪んでしまいます。使用するテープ、ヘッド(テープと接する部分)の大きさ、テープの回転速度を理解する必要があります。

  1. プリセットエフェクト すぐに使用できるようにジャンル等に合わせてプリセットされています
  2. RECORD 録音レベルを決定するところ。高いと歪み低いとヒスノイズが目立ちます
  3. REPRODUCE 再生出力で高いとクリップしてしまいます
  4. METER アナログのメーターですが、INにすれば録音時OUTにすれば再生時の状態を表示します
  5. AUTOGAIN RECORDに合わせてREPRODUCEが自動調整されます
  6. UNLINK/LINK L/Rを連動させるか非連動にするか設定
  7. EMPHASIS EQ  非線形処理の前後で特定の周波数をブースト/カットする
  8. CROSSTALK L/Rチャンネルがテープヘッドの磁気漏れによって わずかに混ざる現象
  9. WOW/FLUTTER テープ走行の微妙な速度変動
  10. AUTO CAL 自動で最適なキャリブレーションを行う
  11. HISS&HUM テープ自体が持つ 帯域広めのノイズ
  12. TRANSFORMER 入出力段にある アイソレーショントランス の音色
  13. TAPE TAPEの種類を選択
  14. CAL テープにどれだけ強く信号を当てるか
  15. HEAD ヘッドギャップの違いによる周波数特性
  16. TAPE速度 時間密度
  17. SYNC 録音直後の信号(音) 
  18. INPUT テープに録音される前の信号(入力信号)
  19. REPRO テープに録音された後、再生ヘッドから出てくる信号
  20. THRU 完全バイパス設定

設定

私が良く聴く音楽は、ZARD、カラヤン、コルトレーン、LED ZEPPELINなので次の点を重視しました。

  • 坂井さんのボーカルが前に出て、ブレスの部分がセクシーに聴こえる。
  • バイオリンやギターの音にハリがあって艶やかであること。
  • サックスが管楽器であることを忘れるような音

最適な設定は下記の画面になります。

  • RECORDとREPRODUCEは数値で示せませんが、画像の位置が最適
  • TAPE速度は30IPS
  • AUTO CAL ON
  • TRANSFORMER ON
  • REPRO ON

TAPE速度の効果

レコーディングスタジオでの標準が15ipsですが、30ipsの方が高音質です。ちなみにカセットテープの速度は、1.875ipsでかなり遅いです。速度が速い方が密度が低くなるので高音質になります。

TAPE速度効果
15 ips (38 cm/s)高解像度録音。マスタリングや音楽制作向け
30 ips (76 cm/s)超高音質だが録音時間が短く、業務用に限定

AUTO CALの効果

Ampex ATR-102が自動で、TAPE、CAL、HEADを調整して最適なキャリブレーションを選定します。そのためTAPE、CAL、HEADをいじっても音が変わりません。更にRECORDとREPRODUCEも制御しているようなので動かない部分が出てきます。

もちろんEMPHASIS EQも動きません。ただ30時間以上自分の音を探してAUTO CALをOFFにして調整しましたが見つかりませんでした。それだけAUTO CALの機能が優秀だということです。

TRANSFORMERの効果

ON にすると

  • 低域が“太く”
  • 中域が“密”
  • 全体が“前に出る”

OFF はよりクリーンで透明

REPROの効果

  • テープに録音された後、再生ヘッドから出てくる音がこの機能です。
  • ATR‑102 の“本来の音”はこれ。
  • AUTO CALによって最適化された音質を再生するもの。

TAPE比較表

テープ種類特徴(技術的)音のキャラクター長所短所向いている用途
GP9 (Quantegy GP9)高出力・高ヘッドルーム。現代的でクリーン。太い・安定・密度が高い。歪みにくい。透明感を保ったまま厚みを出せる。現代的。“アナログ感” はやや控えめ。ポップス、EDM、現代的な音圧系、マスタリング
456 (Ampex)70〜80年代の標準。中庸で扱いやすい。温かい・丸い・心地よい飽和。“これぞテープ” という自然な色付け。高出力には弱い。やや暗め。ロック、AOR、シティポップ、ボーカルもの
250 (Ampex 250)古い世代のテープ。低出力・柔らかい。柔らかい・ふくよか・レトロ。70年代の空気感を最も再現。解像度は低め。低域が緩い。ジャズ、ソウル、70sロック、アコースティック
468 (BASF/EMTEC 468)欧州系。高安定・低ノイズ。タイト・クリア・硬質でスピード感。低域が締まり、定位が安定。色付けは少なめで冷たい印象も。クラシック、映画音楽、電子音楽、精密系

HEADの効果

TAPEの幅に合ったHEADを使用するので、HEADサイズ=TAPEの幅となります。ギャップとはTAPEとHEADが接する隙間の部分になります。

HEAD技術的特徴音のキャラクター
HEAD 1(フル幅)ギャップ広い → 低域豊か太い・温かい・丸い
HEAD 1/2(ハーフ幅)ギャップ狭い → 高域伸びるクリア・タイト・現代的
HEAD 1/4(クォーター)さらに狭い → 最も高域が伸びるシャープ・スピード感・精密

私の感想

ドンシャリ型の音やあっさりとした音が好きな人には向いていない音です。小さなライブハウスでのラウドネスな音を好む人にも合いません。

これまでJRiver Media Centerを最大限活用するために挑戦して来ました。

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このままでも十分いい音でしたが、AIのCOPILOTに私の使用しているシステム、ソフト、聴いている音楽と曲でいうと時間を指定してこの部分のボーカルやギターの音についてこんな音で聴きたいと質問すると、次のソフトを導入するといいと回答してくれました。

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最高と思ってこれ以上の音質はないと感じていました。そしてプラグインブティックから14周年の記念セールというDMを見ているうちに、このAmpex ATR-102が80%割引となっていて通常3万円台なのが6,000円台で買えることが分かりました。

COPILOTに質問すると私の世界観に合うという回答が来ました。しかしプラグインを多数入れることで音質劣化するのではと質問すると問題がないと。

完全にアナログサウンドに変身しました。デジタル臭さがないです。TDRのプラグインだけだとデジタルとアナログの融合した音でしたがそれを超えました。Ampex ATR-102のプラグインは、音の響きかせ方というよりは音像の浮かびあがらせ方に効果のあるものだと感じました。

例えば、白いシャツに染みがついたときに、その染みを浮かび上がらせてから除去するのと化学反応で一気に除去する方法の違いです。Ampex ATR-102のプラグインは、音を浮かび上がらせてから鳴らす音です。

ZARDの坂井さんのボーカルが更に可愛らしくブレスの部分がとてもセクシーに聴こえます。ジミーペイジのレスポールのちょっと鼻をつまんだような音とかがハリと艶をもって聴くことができました。

現在のJRiver Media Center構成
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