CDの音をレコードみたいにする方法

レコードの人気が復活して若年層も購入されているということは喜ばしいことです。今50歳以上の方はレコードからCDへの過渡期を経験されています。私もその一人です。

当時CDは永久保存可能とか盤面に傷をつけても綺麗な音が出るという触れ込みでした。しかしCDの蒸着膜の劣化や記録層に傷が入ると音飛びして聴けなくなります。

CDの売れ行きが低迷してくると、アップルに代表されるようにダウンロード型へ移行し現在はサブスク型が主流となりました。何となく、音楽を聴くということの価値が低下しているように感じていました。

そんな中でのレコード復活は、音と所有欲を満たしたいという願望を持った人が増えてきたということだと思います。レコードジャケットのサイズ感とレコード盤面の漆黒さは独特の魅力があります。最近ではカラフルなレコードも発売されるようになりましたが。

現在主流のサブスク型やダウンロード型で聴いていた人たちも綺麗な音に飽きてきたので、アナログのような味わい深い音で聴いてみたいという声も多く出てきました。私の場合、オーバーヘッドホンとPCオーディオになりますのでこれをベースにお話しをします。

アナログ(レコード)のような音とは

レコーディングがアナログ録音かデジタル録音かでも違ってきます。デジタル録音の音源はレコードで聴いてもつまらないです。スティングの『ナッシング・ライク・ザ・サン』はデジタル録音です。アルバムとしては出来がいいですが、音質には個性がないです。

スピーカーにしろヘッドホンにしろ音として聴くにはアナログ信号でないと無理です。レコードの場合、元々アナログで記録されレコード針がアナログ信号として拾うので音が生々しくなると言われています。

CDの場合は、デジタルで記録されているのでデジタル信号をDACを使ってアナログ信号に変換してスピーカー等で聴くので生々しさが消失すると言われます。

アナログのような音とは、生々しく温かみのある音と定義している人が多いですが、空気感がある音という人もいます。私にとってのアナログ音とは、音の密度が濃く生々しい音に尽きます。

デジタルからアナログ音質へ変える方法

ズバリデジタル音源をDSDにアップサンプリングしてからDSDネイティブ再生するのが一番です。しかし予算もありますので、いくつか方法をご紹介していきます。自分に合った方法で音楽を楽しんでもらえたら光栄です。

私の場合

今までは、DSD録音のものもPCMに変換して聴いていましたので、音圧が下がって聴きづらいと感じたくらいです。JRiver Media CenterにはDSDをネイティブ再生できる能力があった上に、全く表記されていませんが、HIFIMAN EF400はDSD64(DSD 2.8MHz)再生が可能だということを知りました。

デジタル記録(PCM)のものはDSDへアップサンプリングしDSDネイティブ再生、当然のことながらDSD記録のものはDSDネイティブ再生しています。これで非常に生々しく滑らかな音質に変化しました。特にZARDの坂井さんの声が近くでとても生々しく聴こえるようになりました。

音響機器
  1. DAC HIFIMAN EF400
  2. ヘッドホン AUDEZE LCD-X 2021 OPEN-BACK HP
  3. リケーブル オヤイデ店舗オリジナルGaia
  4. 音楽再生ソフト JRiver Media Center34

最もアナログに近い音とは、DSDで記録されているかまたはDSDにアップサンプリングしたものをネイティブ再生することで感じることができます。

DSDネイティブ再生のデメリット
  • DSDネイティブ再生とは、DSD録音のものをDSDのまま再生するため、コントロールできるのはアンプのボリュームだけでイコライザーもPC側の出力も無効になります。
  • DSDはSACD用の記録媒体なので、ヘッドホンで小さな音量で聴くというよりはスピーカーで鳴らすことが前提にあったと思います。そのため音量の調整が困難で爆音になってしまいます。
  • ボリュームをかなり絞るようになるので、ギャングエラー(左右の音のバランスが崩れる現象)の発生原因になります。
  • JRiverでDSDをネイティブ再生にし、それ以外のFLACやWAVのようなPCM録音の音源はそのままで再生するように設定すると、DSDネイティブ再生のボリュームだと小さいので大きくする手間がかかります。

DACをR2R DACにする

DACには2種類あり主流のデルタシグマ形式かR2R形式です。R2R形式は非常に繊細で柔らかい音がします。私が使用しているHIFIMAN EF400はR2R形式です。

HIFIMANの創業者はR2R形式のDACの音に惚れこみ、特にBurr-Brown製のものを使用してアンプを製造していました。しかし製造中止となり自社でヒマラヤDAC(R2R形式)を開発しました。

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JRiver Media Center(音楽再生ソフト)を導入する

元々ウォークマンで音楽を聴いていたため、無料のSONY Music Center for PCを使用していました。しかし突然このソフトが使えなくなり(後日使えるようになる方法を見つけました)様々なソフトを試聴してJRiver Media Centerに辿り着きました。

音質的には、AudirvānaとHQPLAYERを足して2で割ったような音質です。2つのソフトの良いとこ取りと言ったところです。価格は1万円以上しますが納得のいく音質と使いやすさです。

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DACがDSDネイティブ再生可能な場合

高級音楽再生ソフトで有名なHQPLAYERの音の評価がDSDへのアップサンプリングにあることを思い出しました。PCM録音のものをDSD64にアップサンプリングしてEF400でDSDネイティブ再生することにしました。

音質の変化
  1. ボーカル・楽器ともに生々しく迫力が増加しました。
  2. PCMよりDSDの方が音の解像度が落ちると言われていますが、中音域に厚みのある音だからでしょう。特に気になるレベルではないです。
  3. どのジャンルの音楽でもその良さや息遣いまで生々しく表現してくれます。録音したものではなく目の前で歌ったり楽器の演奏を実際の自分の耳で聴いている感じです。
設定方法

JRiver Media Centerのソフトを起動します。

【プレーヤー】-【DSPスタジオ】を開きます。

【出力ファイル形式】-【出力エンコーディング】で対応するDSDに設定します。

私の場合、DSD64までしか対応していないDACなので下図の設定になります。

1×DSDとはDSD64を指し、2×DSDとはDSD128を指します。プルダウン形式で選択できるようになっています。

【プレーヤー】-【再生オプション】を開きます。ビットストリーミングをDSDに設定すれば、PCMに変換しないでダイレクトにDSD再生(ネイティブ再生)を行います。

音量調整がうまくいかない場合

下記の2つの方法を試しましたが、音質が若干変わるため使用を断念しました。DSDネイティブ再生の扱いの困難さを実感しましたが、これでしか出せない音があるのも事実です。

  1. 『DACがDSDネイティブ再生不可の場合』を参考にプラグインを導入してください。
  2. パラメトリックイコライザーで音量調整します。

【プレーヤー】-【DSPスタジオ】-【パラメトリックイコライザー】を開きます。

右上の位置に追加のボタンがありますので押します。押すと下記のように一覧が表示され『音量を調節』を選択します。

下の方に下記のように表示されますので、ゲインの部分でマイナス入力することでPCMデータの音量を減少させます。

PCMからDSDへアップサンプリングした音源は音量が下がりますのでボリューム調整しやすくなり音質的にも近くなります。

DACがDSDネイティブ再生不可の場合

JRiverにはVST3プラグインを追加する機能がありますので、DDMF社の『Tube Preamp』をダウンロードして追加しました。

デジタルの音からアナログの音へのこだわりが始まりなので、真空管のエミュレーションがいいと思い数あるプラグインから選択しました。

DDMF社の『Tube Preamp』ダウンロード

海外のサイトだし危険ではないかと思いましたが、NURO光SAFEを信じてダウンロードしました。下記のサイトにアクセスしてください。

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サイトにアクセスすると下記の画面が出てきますので、自分のPCのOSに合ったボタンを押してください。

ダウンロードして展開しクリックすると下記のような表示が出てきます。詳細情報をクリックすると実行ボタンが出てきますので、迷わず実行します。

PRINTSCREENが使えなかったので、写真撮影したため画質が荒くなりました。デフォルトだと全てにレ点が入っているので、私はVST3 64BITのみにレ点を入れてダウンロードしました。

VST3はVSTの改良版なのでVST3を選択しました。

ダウンロード先を見つけるのに苦労しましたが、ローカルディスク(C)-Program Files-Common Filesに下記のようにVST3というフォルダーが作成され格納されています。

後で格納先が分からなくなるといけないので、JRiverのフォルダでPluginsに移動しました。

下記のVST3ファイルが該当するファイルになります。

プラグインの追加

いよいよJRiver Media Centerに追加します。

【プレーヤー】-【DSPスタジオ】を開きます。下の方に下図のようにプラグインの管理をクリックすると青字のプラグインの追加が表示されますので更にクリックします。

PC内のフォルダを開いてくるので、私の場合はVST3のファイルのあるJRiverのPluginsフォルダに変更し『TubePreamp.vst3』をクリックして完了です。

プラグインの設定

【プレーヤー】-【DSPスタジオ】を開くと下記のように表示されています。真空管アンプの回路図だと思いますが私には分かりません。音質を変えるにあたっての重要なポイントに番号を振りました。

下図のようにVや㏀等の数値の箇所をダブルクリックすると数値の変更が可能になります。ちなみに下の画像はデフォルトの設定になります。思いっきり歪みました。

設定箇所

上の画像の①から④までの部分になります。

また使用するにあたっては画像の左側にある『TubePreamp』にレ点を入れます。

①の設定

Bypはおそらくバイパスの略でこれをオンにします。

Driveは私はゼロにしました。好みで調整してください。

Out Gainは11時にしました。12時を超えてくると歪みが発生します。

②の設定

電圧の意味だと思いますが、通常真空管アンプの電源電圧は200Vから400Vです。この部分は音圧や音量に関係するので170Vから200Vで調整してください。

③の設定

2㏀から3㏀で調整してください。これ以上だと歪みが発生してきます。

④の設定

0.11㏀まで下げましたが、音源によっては歪みが発生したため1.22㏀にしました。

自分の好みの設定が完了したら、DSPスタジオ右端にある保存ボタンを押してください。名前を入力すれば保存され、ロードの画面で呼び出せます。

また、色々いじりすぎて元に戻れなくなったらロードのプリセットを押せばデフォルトに戻してくれます。

この記事を書いた人

ogoe 男性

福島県南相馬市原町区から上京してきて30年以上経ちます。仕事は、財務経理が20年以上、不動産関係が10年以上経験があります。趣味は音楽と写真。過去の曲でなかなか聴く機会のないアルバムを若い世代に紹介していきたいと思ってます。

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