どうしても『Waltz for Debby』がジャケットも含めて素晴らしすぎるので、このアルバムの存在を知りながらも軽視していた。しかし、WEBで音楽再生ソフトのプラグインを調べていてこのアルバムを試聴用として紹介している記事を見て購入することに決定した。エバンスは初期のころから完成されていたと思う。流石はマイルスが認めたピアノ奏者で唯一無二の存在だ。敬意を表して中古でプレミア価格がついているが、Xrcdで購入し聴いてみることにした。
ジャケットの印象
エバンスのジャケットは必ず一工夫してあるのがいい。モノクロでバッグに白文字でアルバムタイトルを入れてくるところが素晴らしい。渋くて格好いい。
音の特徴
オープニングから録音上のトラブルがあることをご存知でしょうか。『Gloria’s Step』の2:42あたりの音の歪みのような揺れは技術的な問題だろう。この部分をCDまたはレコードでプレスのせいにする人もいるようだが、マスターテープの音がそうだから諦めるしかない。
『Alice in Wonderland』を聴けば、エバンスがなぜラファエロを選んだのかが分かる。ベースがピアノの引き立て役ではなく同等の立場で共演している。途中からピアノの演奏がなくなりベースとドラムだけになるが全く退屈することがなく1分強の無言から再びピアノが入ってくる。
『All of You』でもエバンスは途中で演奏を止めている。もしかしたらラファエロと『ポール・モチアン』のドラムに聴き入っていたのかもしれない。改めて『ポール・モチアン』のドラムの凄さを感じた。
雰囲気・世界観
陰と陽と言いながらこのアルバムのラストの『Jade Visions』では思いっきり面喰ってしまう。この1曲だけでも『Waltz for Debby』を超えているように思う。非常に考えさせられる名曲であり名演と言っていいだろう。
おすすめの聴き方・シーン
同じVillage Vanguardでのライブ演奏とは思えないくらい『Waltz for Debby』とは趣が違う。よくぞここまで違う作品に編集したというくらい違って聴こえる。『Waltz for Debby』が陰ならば『Sunday At The Village Vanguard』は陽といってもいいくらいの違いである。
ラファエロの技術の高さというかラファエロに焦点が定まったかのような演奏で、その表現力がエバンスの演奏を邪魔しているようにも聴こえる。高度な共演と言っていいほどに曲調は壊れていない。
感傷的になるわけでもなく、技術力を聴き入るわけでもない。ただ聴き流すような音楽ではないので、退屈だと感じる瞬間があったときにこのアルバムを聴いて欲しい。
総評
ジャケットのアルバムタイトル下に『Featuring Scott La Faro』と敢えて記載されているのは追悼の意味も込められているのかもしれない。Village Vanguardでのライブ演奏からしばらくしてラファエロは亡くなっている。
気のせいか海外のアーティストは交通事故で若い時に亡くなっている人が大勢いる。交通事情のせいなのか本人の不注意が原因なのかは分からない。
『Waltz for Debby』と兄弟アルバムとして取り扱われるが、同日同場所録音のライヴ盤である。編集で切り分けているだけである。『Waltz for Debby(完全版)』には2枚分の楽曲が収録されている。やはり別々にアルバムを買って聴くのが一番いい聴き方だと思う。コンセプトが全く違うアルバムに仕上げられているからだ。
キャッチコピー
『もう一つのWaltz for Debby』
AllMusic評価
| 5 | Masterpiece |
| AllMusicスコア | 評 価 |
|---|---|
| Masterpiece | |
| Excellent | |
| Strong | |
| Good | |
| Average | |
| Mixed | |
| Poor | |
| Very Poor | |
| Awful |






