- ROCK
- 2024年8月26日
- 2025年4月12日
Simon & Garfunkel『Bridge Over Troubled Water』比較レビュー
元々はBlu-spec CD2で持っていただけでしたが、新た……

ストーンズを語るうえではビートルズ抜きでは考えられない。ビートルズのライバルと言われることがしばしばあるが、これは間違えている。ヒットチャートはそれぞれ意識していたかもしれないが、色々な点でスタートラインが違いすぎる。
私がストーンズを知ったのはビートルズを好きになってからのことで、『アンダー・カバー』のアルバムを発売と同時に購入している。レコードだったが音質が悪く、ビートルズの古いアルバムの方が音質がいいと感じたものだ。
その後聴くことはなく、再度聴くことになるのは2010年に入ってからである。初期の頃のアルバムからSteel Wheelsまでで終了となりましたが。
意外に当時合わないと感じていたデッカ時代のアルバムに名盤が多いと感じ、ハイブリッドSACD盤で購入した結果大正解。モノラル録音でありながらアンダー・カバーより音質が良く太い。改めて聴いて思ったのは、ストーンズはデビュー当時はブルース・ロックのバンドだったこと。
後にポップ・ロックとなったのは商業的にそうせざるを得なかったからなのか。ただブルースの方が個人的にはストーンズに合っていると思う。
デッカ時代はブルースがメインだが、このデッカ時代の版権を取得したのは、悪名高いビートルズのマネージャー、アラン・クライン。ABKCO Recordsという会社のオーナーでそこに買わせた。抜け目のないやり手マネージャーだったということ。
ストーンズのアルバムは最初の5曲目くらいまでは新鮮でいいと思う曲があるが、後は焼き増しのような似たり寄ったりで退屈してしまうのが多い。そんな中で退屈しない名盤をご紹介。
Decca Recordsと言っても皆さんの知っているユニバーサル・ミュージックに合併されているので複雑な気持ち。ビートルズを採用したEMIもユニバーサル・ミュージックに合併されていることを考えると多様性は重要だと思わざるを得ない。
現在の音楽事業はユニバーサル ミュージック グループ、ワーナー・ミュージック・グループとソニー・ミュージックエンタテインメントのビッグスリーが世界を牛耳っている。ソニーの場合はどちらかと言うと音楽出版部門が世界トップであり、レコード・CD・配信事業はユニバーサル・ミュージックに劣る。

デッカ時代のベスト盤。ベスト盤は買わないことが多い中で敢えて購入し大満足。このベスト盤はUK盤とUS盤の2種類があり曲数も違う。私が購入したのはUS盤で2002年に発売されたハイブリッドSACD盤。音質がいいと評判なので購入したが、文句なしの音質。
マスタリングを手掛けているのがボブ・ラドウィックで、クラプトンやツェッペリンのアルバムでの実績があります。この時代の録音機器やレコーディング状況を熟知している上にロックが好きな人と思っている。この人のマスタリングに外れなし。
古臭さはそれほど感じることもなく素直にブルースを楽しめる。ミックのボーカルもまだ気持ち悪い歌い方でないのが良い。US盤とUK盤の見分け方は、US盤は12曲でUK盤は14曲収録されていること。またこのアルバムにはステレオ盤とモノラル盤があるが、私が購入したハイブリッドSACD盤はステレオの曲とモノラルが混在していると思う。
このアルバムの購入の決め手は『Time Is On My Side』でアルバム『12 X 5』に収録されている同曲との比較にある。このアルバムはギターのイントロから始まるステレオバージョンのものだ。1曲当たりの長さも当時のルールに従って3分前後となっているため一気に聴くことができる。
更に『テル・ミー』はミックとキースの作詞・作曲の初共作となるが、発売当時の日本では『テル・ミー』を『輝美』という女性の名前のように考えていたようだ。

引き続き2002年に発売されたハイブリッドSACD盤を購入。ステレオ録音とモノラル録音が混在しているアルバム。ボブ・ラドウィックが曲に応じてステレオとモノラルを使い分けたのかは分からない。ただボブ・ラドウィックのリマスターによってストーンズの音楽を楽しく聴けることになったのは事実だ。
『Time Is On My Side』が『Big Hits (High Tide and Green Grass)』に収録されているものと全く違う音質なのが面白い。こちらはモノラル録音でオルガンのイントロから始まる。これがしびれるほど格好いい。曲全般についてオルガンが使用されているのもいい。
『Congratulations』を聴いているとフィル・スペクターの求めた【ウォール・オブ・サウンド】はこれではないかと思ってしまう。ボブ・ラドウィックのマスタリングはモノラルでも迫力と音の分離がしっかりしているところ。単純に音圧を上げるという手法ではなく、曲にエネルギーと瑞々しさを吹き込むところが凄い。
Decca Recordsとの契約終了後に設立された会社。自分たちのアルバムをリリースするために設立したことから今の音楽業界を考えるといいタイミングで設立したと思う。音楽の権利関係は全てこの会社が管理してユニバーサル・ミュージックに配給をさせるという形式をとっている。
分かりやすく言うと、開発がRolling Stones RecordsでCD等の製造・販売をユニバーサル・ミュージックが行っているということ。

数あるストーンズのライブ盤の中でもこのアルバムは初めてストーンズを聴く人にもおススメのアルバム。1981年という米国も空前の好景気の時代で、ストーンズも脂がのっている時期。アルバム全体にエネルギーが満ち溢れていて、特にオープニングから『アンダー・マイ・サム』へ入る瞬間が格好いい。
このアルバムに収録されている『Time Is On My Side』のギターは、コーラスかフランジャーを噛ました音作りが印象的でいい。そしてアルバム終盤で『スタート・ミー・アップ』『サティスファクション』とヒット曲があるので否が応でも盛り上がる。
『サティスファクション』はライブのためか乗りすぎているためか超高速に演奏しているのが残念。もう少しテンポを落としてほしかった。
アルバムの最後はストーンズは英国人にも関わらず米国でのライブのためか『星条旗』で締めくくるという粋な計らいがある。

1978年リリースのアルバムで、ロッド・スチュアートとバンド『フェイセズ』を組んでいたロン・ウッドがギターで参加した最初のアルバム。当時流行っていたディスコ・ミュージックの影響を受けている。
オープニングの『ミス・ユー』から始まり『ジャスト・マイ・イマジネーション』とミドル・テンポの曲が気持ちいい。
『サム・ガールズ』のコーラスを掛けたようなバッキング・ギターはキースだろうと思う。ソロらしいフレーズがロンのギターと思うが、キースに近いトーンなのでミック・テイラーの後任ギターリストとして認められたのだろう。その後の在籍期間を見ても長いので仲間と相性も合っていたということだろう。
テクニックだけでは選ばれないという難しさは、AIが台頭しても変わらないだろう。所詮は人間は生物で好き嫌いで判断するから、全てにおいて合理的判断はない。
バラード調の『ビースト・オブ・バーデン』も中々いい。ラストのダサい『シャッタード』で締めるならこの曲の方が良かったのに。そんなところがストーンズらしさなのだろう。

1989年リリースのアルバムで私にとっては新しいアルバムを良く買ったと思う。日本は当時バブル経済だったが、このアルバムは全般洗練されたポップ・ロック。
仕事用のBGMに最適と考えていたが、そうでもなかった。『Terrifying』はダンス・ミュージック調でありながらクールでいい。『Hearts for Sale』のクリーン・トーンのギターは恐らくロンのギターと思うが渋くていい。
アコギ、ピアノをフューチャーしたシンプルでありながら素晴らしい『Blinded by Love』もいい。1曲当たりの時間も4分以上の曲が多く全収録曲12曲を考えるとCDで収録できる上限に近い。時代的にレコードからCDの移行期なので意識したアルバム制作だったのかもしれない。
ミック以外の変わったボーカルはキースで意外に渋すぎるのでアルバムに多様性を持たせている。それでなくてもこのアルバムには多数のミュージシャンが参加してレコーディングしているので退屈しない。パーカッション、ストリングス等ストーンズらしくない楽器も使用されている。コーラスも多数ミュージシャンが参加している。
とにかくストーンズのメンバーだけのアルバム制作だと途中で退屈してしまうのが多いが、このアルバムは1曲1曲に新鮮さや技術の高さを感じる。ストーンズの泥臭さがあまり感じられない洗練さのあるアルバム。
福島県南相馬市原町区から上京してきて30年以上経ちます。仕事は、財務経理が20年以上、不動産関係が10年以上経験があります。趣味は音楽と写真。過去の曲でなかなか聴く機会のないアルバムを若い世代に紹介していきたいと思ってます。