ストーンズを語るうえでビートルズ抜きでは考えられない。ビートルズのライバルと言われることがしばしばあるが、これは間違えている。ヒットチャートはそれぞれ意識していたかもしれないが、色々な点でスタートラインが違いすぎる。
- ビートルズは全員労働者階級であったが、ストーンズのメンバーは中産階級の出身。つまりストーンズの方が育ちがいいこと。
- デッカのオーディションに落ちたビートルズがEMIに採用されヒットメーカーになったとき、困ったデッカ担当者がジョージ・ハリスンに相談した結果ストーンズを紹介された。
- ビートルズのメジャーデビューは1962年であるが、ストーンズは1963年で後発。
- ビートルズはストーンズのカバー曲は1曲もやっていないが、ストーンズはビートルズの『I Wanna Be Your Man』をカバーしている。
- ビートルズの曲は基本的に物悲しい曲が多いが、ストーンズは逆に軽快なポップが多い。
私がストーンズを知ったのはビートルズを好きになってからのことで、『アンダー・カバー』のアルバムを発売と同時に購入している。レコードだったが音質が悪く、ビートルズの古いアルバムの方が音質がいいと感じたものだ。
その後聴くことはなく、再度聴くことになるのは2010年に入ってからである。初期の頃のアルバムからSteel Wheelsまでで終了となりましたが。
意外に当時合わないと感じていたデッカ時代のアルバムに名盤が多いと感じ、ハイブリッドSACD盤で購入した結果大正解。モノラル録音でありながらアンダー・カバーより音質が良く太い。改めて聴いて思ったのは、ストーンズはデビュー当時はブルース・ロックのバンドだったこと。
後にポップ・ロックとなったのは商業的にそうせざるを得なかったからなのか。ただブルースの方が個人的にはストーンズに合っていると思う。
デッカ時代はブルースがメインだが、このデッカ時代の版権を取得したのは、悪名高いビートルズのマネージャー、アラン・クライン。ABKCO Recordsという会社のオーナーでそこに買わせた。抜け目のないやり手マネージャーだったということ。
ストーンズのアルバムは最初の5曲目くらいまでは新鮮でいいと思う曲があるが、後は焼き増しのような似たり寄ったりで退屈してしまうのが多い。そんな中で退屈しない名盤をご紹介。
Decca Recordsと言っても皆さんの知っているユニバーサル・ミュージックに合併されているので複雑な気持ち。ビートルズを採用したEMIもユニバーサル・ミュージックに合併されていることを考えると多様性は重要だと思わざるを得ない。
現在の音楽事業はユニバーサル ミュージック グループ、ワーナー・ミュージック・グループとソニー・ミュージックエンタテインメントのビッグスリーが世界を牛耳っている。ソニーの場合はどちらかと言うと音楽出版部門が世界トップであり、レコード・CD・配信事業はユニバーサル・ミュージックに劣る。
Big Hits (High Tide and Green Grass)

ジャケットの印象
1960年代のマシュマロカットの髪形がグッド。グレーティングしたような写真が味が合っていいです。
音の特徴
デッカ時代のベスト盤。ベスト盤は買わないことが多い中で敢えて購入し大満足。このベスト盤はUK盤とUS盤の2種類があり曲数も違う。私が購入したのはUS盤で2002年に発売されたハイブリッドSACD盤。音質がいいと評判なので購入したが、文句なしの音質。
マスタリングを手掛けているのがボブ・ラドウィックで、クラプトンやツェッペリンのアルバムでの実績があります。この時代の録音機器やレコーディング状況を熟知している上にロックが好きな人と思っている。この人のマスタリングに外れなし。
古臭さはそれほど感じることもなく素直にブルースを楽しめる。ミックのボーカルもまだ気持ち悪い歌い方でないのが良い。US盤とUK盤の見分け方は、US盤は12曲でUK盤は14曲収録されていること。またこのアルバムにはステレオ盤とモノラル盤があるが、私が購入したハイブリッドSACD盤はステレオの曲とモノラルが混在していると思う。
雰囲気・世界観
デッカ時代のストーンズが好きなのは、グループ・サウンズだからです。
おすすめの聴き方・シーン
丁寧なレコーディングでボーカルが何よりもいいので、就寝前に聴くか早朝のジョギングのお供に。
総評
このアルバムの購入の決め手は『Time Is On My Side』でアルバム『12 X 5』に収録されている同曲との比較にある。このアルバムはギターのイントロから始まるステレオバージョンのものだ。1曲当たりの長さも当時のルールに従って3分前後となっているため一気に聴くことができる。
更に『テル・ミー』はミックとキースの作詞・作曲の初共作となるが、発売当時の日本では『テル・ミー』を『輝美』という女性の名前のように考えていたようだ。もちろん『サティスファクション』もあるので最高です。
キャッチコピー
『ビートルズのお陰でDECCAに採用されたよ』
AllMusic評価
| 4.5 | Excellent |
| AllMusicスコア | 評 価 |
|---|---|
| Masterpiece | |
| Excellent | |
| Strong | |
| Good | |
| Average | |
| Mixed | |
| Poor | |
| Very Poor | |
| Awful |
12 X 5

ジャケットの印象
この頃のフィルムカメラは解像度は落ちるかもしれないが、絵画のような写真にしてくれるのがいい。
音の特徴
引き続き2002年に発売されたハイブリッドSACD盤を購入。ステレオ録音とモノラル録音が混在しているアルバム。ボブ・ラドウィックが曲に応じてステレオとモノラルを使い分けたのかは分からない。ただボブ・ラドウィックのリマスターによってストーンズの音楽を楽しく聴けることになったのは事実だ。
『Time Is On My Side』が『Big Hits (High Tide and Green Grass)』に収録されているものと全く違う音質なのが面白い。こちらはモノラル録音でオルガンのイントロから始まる。これがしびれるほど格好いい。曲全般についてオルガンが使用されているのもいい。
雰囲気・世界観
まだまだ途上にはあるが未来に向かっているサウンドです。
おすすめの聴き方・シーン
ミックジャガーだとかキースリチャードではなく、ストーンズと言うバンドとしての音楽がここにあります。まとまりのある音楽が魅力。
総評
『Congratulations』を聴いているとフィル・スペクターの求めた【ウォール・オブ・サウンド】はこれではないかと思ってしまう。ボブ・ラドウィックのマスタリングはモノラルでも迫力と音の分離がしっかりしているところ。単純に音圧を上げるという手法ではなく、曲にエネルギーと瑞々しさを吹き込むところが凄い。
コーラスワークがこの時期断トツでいい。いつからストーンズからコーラスが無くなったのか。
キャッチコピー
『オーバー・ザ・トップ』
AllMusic評価
| 5 | Masterpiece |
Decca Recordsとの契約終了後に設立された会社。自分たちのアルバムをリリースするために設立したことから今の音楽業界を考えるといいタイミングで設立したと思う。音楽の権利関係は全てこの会社が管理してユニバーサル・ミュージックに配給をさせるという形式をとっている。
分かりやすく言うと、開発がRolling Stones RecordsでCD等の製造・販売をユニバーサル・ミュージックが行っているということ。
Still Life

ジャケットの印象
アニメのような描写に芸術性を感じてしまう。
音の特徴
数あるストーンズのライブ盤の中でもこのアルバムは初めてストーンズを聴く人にもおススメのアルバム。1981年という米国も空前の好景気の時代で、ストーンズも脂がのっている時期。アルバム全体にエネルギーが満ち溢れていて、特にオープニングから『アンダー・マイ・サム』へ入る瞬間が格好いい。
このアルバムに収録されている『Time Is On My Side』のギターは、コーラスかフランジャーを噛ました音作りが印象的でいい。そしてアルバム終盤で『スタート・ミー・アップ』『サティスファクション』とヒット曲があるので否が応でも盛り上がる。
『サティスファクション』はライブのためか乗りすぎているためか超高速に演奏しているのが残念。もう少しテンポを落としてほしかった。
アルバムの最後はストーンズは英国人にも関わらず米国でのライブのためか『星条旗』で締めくくるという粋な計らいがある。
雰囲気・世界観
エネルギー全開でリリースすればなんでも売れるという自信があったのでは。軽快なポップ・ロックでノリノリの音楽。
おすすめの聴き方・シーン
ドライブで遠出するときにBGMとしてかければ、運転が楽しくなるはず。
総評
アメリカも空前の好景気でストーンズも商業的に成功していた頃。内容も音質も悪くないのにALL Musicの評価がひどすぎる。こんなにひどい評価は見かけない。何か恨みでもあるのだろうか。
キャッチコピー
『まだまだ行ける』
AllMusic評価
| 2 | Poor |
女たち

ジャケットの印象
色んな女性の顔を集めてうまく描画したもんだ。芸術的なジャケットです。
音の特徴
オープニングの『ミス・ユー』から始まり『ジャスト・マイ・イマジネーション』とミドル・テンポの曲が気持ちいい。
『サム・ガールズ』のコーラスを掛けたようなバッキング・ギターはキースだろうと思う。ソロらしいフレーズがロンのギターと思うが、キースに近いトーンなのでミック・テイラーの後任ギターリストとして認められたのだろう。その後の在籍期間を見ても長いので仲間と相性も合っていたということだろう。
テクニックだけでは選ばれないという難しさは、AIが台頭しても変わらないだろう。所詮は人間は生物で好き嫌いで判断するから、全てにおいて合理的判断はない。
バラード調の『ビースト・オブ・バーデン』も中々いい。ラストのダサい『シャッタード』で締めるならこの曲の方が良かったのに。そんなところがストーンズらしさなのだろう。
雰囲気・世界観
ストーンズらしくないハイセンスな曲が多い。少し上品なのがいい。
おすすめの聴き方・シーン
仕事帰りにディスコで聴けば、無理なくミディアム・テンポで踊れるのでストレス解消とダイエットにピッタリ。
総評
1978年リリースのアルバムで、ロッド・スチュアートとバンド『フェイセズ』を組んでいたロン・ウッドがギターで参加した最初のアルバム。当時流行っていたディスコ・ミュージックの影響を受けている。
ALL Musicの評価が最高点なのも納得の出来。
キャッチコピー
『ブギウギ』とか『スウィングダンス』
AllMusic評価
| 5 | Masterpiece |
Steel Wheels

ジャケットの印象
レコードがツイストパンになったモノトーン調のジャケットが格好いい。
音の特徴
ミック以外の変わったボーカルはキースで意外に渋すぎるのでアルバムに多様性を持たせている。それでなくてもこのアルバムには多数のミュージシャンが参加してレコーディングしているので退屈しない。パーカッション、ストリングス等ストーンズらしくない楽器も使用されている。コーラスも多数ミュージシャンが参加している。
とにかくストーンズのメンバーだけのアルバム制作だと途中で退屈してしまうのが多いが、このアルバムは1曲1曲に新鮮さや技術の高さを感じる。ストーンズの泥臭さがあまり感じられない洗練さのあるアルバム。
雰囲気・世界観
難しく考える必要なし。何も考えずに踊ろうよ。
おすすめの聴き方・シーン
ストーンズの音楽で『スウィングダンス』を流行らせたい。ジョギングの時に聴くだけでなく、純粋にストレス解消とダイエットに踊りは有効な手段だと思います。
総評
1989年リリースのアルバムで私にとっては新しいアルバムを良く買ったと思う。日本は当時バブル経済だったが、このアルバムは全般洗練されたポップ・ロック。
仕事用のBGMに最適と考えていたが、そうでもなかった。『Terrifying』はダンス・ミュージック調でありながらクールでいい。『Hearts for Sale』のクリーン・トーンのギターは恐らくロンのギターと思うが渋くていい。
アコギ、ピアノをフューチャーしたシンプルでありながら素晴らしい『Blinded by Love』もいい。1曲当たりの時間も4分以上の曲が多く全収録曲12曲を考えるとCDで収録できる上限に近い。時代的にレコードからCDの移行期なので意識したアルバム制作だったのかもしれない。
キャッチコピー
『キャッチーな曲がいっぱい』
AllMusic評価
| 3 | Average |





