- Ambient
- 2024年6月2日
- 2026年1月31日
Traffic『The Low Spark of High Heeled Boys』レビュー
トラフィックというバンド名を言われても知らない人が多数でしょ……

Bill Evansとの出会いは、『You Must Believe in Spring』でSHM-CDの方が音質がいいという口コミを見てプレミア価格で購入しました。この時の曲調がエバンスなんだなあと思いずっと引きずることになりますが。
3部作としましたが、実際には3部作ではなく勝手に私がそう思っているだけです。レコーディング順に並べても妙に辻褄が合ってしまうのが驚き。1980年に亡くなる晩年の作品ですが、死を意識した作品ではなかったかといつも思ってしまいます。更にALL Musicの評価が3枚とも全て4というのも何かの偶然でしょうか。
薬物にしても頭では止めた方がいいと分かっていても、止められなかったのでしょう。これだけの繊細なピアノはエバンスにしか弾けないから。

1977年録音のアルバム。Fantasy Records最後のリリースアルバムとなる。日本での評価は低いが海外では高いという変わったアルバム。グラミー賞も受賞しているし何と比較してこのアルバムの評価が低くなるのか。
エバンスのジャケットは、いつも後ろ髪を引かれる思いのものばかりである。車で坂道をこれから登ろうとしている写真ではなく、登り切ったところを後ろから見ているのが印象的。
3曲目までは私の好きなしっとりとした透明感のあるエバンスの曲っていう感じ。しかし4曲目でゴメスのハイポジションのベースがイマイチ馴染めない。
5曲目のI Will Say Goodbye(Take 2)は少しピアノがくどいかもしれません。オープニングの方が私は好きです。6曲目のThe Openerは何故か明るくとても弾んでいる演奏なのでびっくりしますが、このあとの7曲目からは、I Will Say Goodbye調の曲になり聴かせてくれます。
ゴメスのベースの中では、8曲目の『A House Is Not A Home』のベースがピカ一。ローとハイを上手く使って演奏しています。アルバム全般にわたりエバンスのピアノは透明で繊細で言うことなし。ラストは6曲目の『The Opener』調の曲で閉めていますが悪くない終わり方です。
自分自身の過去を思って演奏していたのか、ジャケットにその思いが込められているようで仕方がない。
反省したいときに一人で聴くべきアルバム。
オープニングの内省さとは裏腹に、水しぶきのような旋律の2曲目があったりと流石はエバンス。どの曲も透明感があります。モントリオールのライブの音とは違う。はかない感じのピアノが心を奪う。
『どんな気持ちで弾いていたのだろう』
| 4 | Strong |
| AllMusicスコア | 評 価 |
|---|---|
| Masterpiece | |
| Excellent | |
| Strong | |
| Good | |
| Average | |
| Mixed | |
| Poor | |
| Very Poor | |
| Awful |

中央縦長の長方形の窓がいい。次で紹介するアルバムにも通じる構成である。水墨画が妙に寂しい。
1曲目は自殺した元恋人に捧げた曲。4曲目はお兄さんに捧げた曲、しかし録音の時点では自殺していません。1979年に自殺なので。しかも今後録音されるであろう『We Will Meet Again』という曲で。どういう心境だったのだろう。
9曲目、10曲目とアップテンポな曲で締めくくっているのがこの人の心の構造が複雑なところで理解しがたい。ピアノの録音はエバンスのニュアンスを惜しみなく捉えていると思います。そんな中でこのアルバムで特筆すべき曲は、5曲目の『The Peacocks』だろうと思います。
正直気が滅入ってしまう音楽。でもそこが良くて何度も聴きたくなるんです。
元気になる訳ではないですが、気が滅入ってどうしようもない時に聴いてください。心に沁みてく感じの虜になるでしょう。
1977年録音のWarner Records移籍後初のアルバム。オープニングの『B Minor Waltz』のピアノにやられてしまいました。氷のように透き通った、でも冷たい感じのピアノ。
迷路の中から抜け出せなくなっているような気分にさせてくれます。そしてゴメスのベースがピアノに上手く絡んできていて、ミドルポジションの音の使いが曲調にハマっているのがいい。素晴らしい曲でこのアルバムは満ち溢れています。
『透き通る旋律』
| 4 | Strong |

ジャケットは小さな窓から大きな海が見える光景ですが、なぜ小さな窓からだったのか。
アルバム全体としてはいい曲が多いのに、これまで紹介してきた2枚の演奏と違って繊細さが足りない。これが最後の録音になるとは思っていなかったことになります。誰もいつが最後なんて分からないしね。
『Only Child』は賑やかに聴こえながらもエバンス節がある。
また次会うための儀式のような、悲しいだけの音楽じゃなく少しだけ華やかに演奏したかったのかもしれない。
細く繊細なタッチではなく、少しだけ太く粗いタッチなエバンスでも受け入れられる人向けです。ピアノだけでなく、聴きどころはサックスとベースかもしれません。終わりかけているかもしれないけど、また会いたいねといった気分で聴いてください。
1979年最後のスタジオ録音のアルバム。ゴメスは1978年にエバンスの元を去っています。
最後の録音をなぜクインテッドにしたのかは分かりませんが、死が近づいていると思ったのかもしれません。クインテッドとは5人編成ということです。少し派手な感じがしますが、華やかさがちょっぴり欲しかったのかもしれません。
ラストのお兄さんに捧げた『We Will Meet Again』はピアノソロで締めくくっています。アルバム『You Must Believe in Spring』に収録されているものよりも短く、タッチが荒いのが妙に印象に残ります。
『とりあえずこれで一旦おしまい』
| 4 | Strong |