1980年代のジャズシーンでこの人抜きには語れないくらいヒットを飛ばした方です。綺麗な女性というだけでなく声質が低音がしっかり出ていて声量もあるのが特徴です。
それでもどうしても受け入れられないところは、英語の発音が日本語なので英語の曲を聴くとどうしても違和感を感じてしまうことでした。でも好きなアーティストでしたので自分に合ったアルバムを何とか探して見つけました。
それがこの『Le Cinema』です。すぐに見つかりました。ジャケットが目に留まり試聴したらやっぱりいいアルバムでした。英語の発音に違和感はありません。
当時の日本の音楽業界の潮流と、ジャズが主流ではなかった事実
1970年代後半〜80年代前半はニューミュージック(松任谷由実、山下達郎、竹内まりや)が台頭し、シティポップの萌芽(AOR/都会的サウンドへの志向)、歌謡曲の黄金期(中森明菜、松田聖子、寺尾聰)、フュージョン・クロスオーバーの隆盛(高中正義、カシオペア、T-SQUARE)という現在の海外から高く評価されるJ-POPが形成された時期だった。
ジャズは完全にメインストリームではないジャンルだったが、その中で阿川泰子が成功したのは、ジャズを都会的ポップスとして再定義した最初の存在だったから。
阿川泰子が“都会的ジャズ”を確立した功績
ジャズを“都会のライフスタイル”として提示した最初の歌手
- 当時のジャズは“硬派・専門家向け”というイメージが強かった
- 阿川泰子は 都会的・洗練・夜のムード を纏い、ジャズを ファッション × ライフスタイル として提示した
声質が“日本人離れした透明感 × 艶”を持っていた
- 伸びやかな高域
- 余韻の美しさ
- 息の混ざり方が極めて上品でジャズとAORの中間に位置する唯一無二の声
編曲・録音チームが世界基準だった
- 佐藤允彦、前田憲男、稲垣次郎など
- 当時の日本で最も洗練されたジャズ/フュージョン人脈
- 録音もトップクラスで、音質の良さが海外で再評価される要因にもなった
ジャズを聴かない層にまで届いた
- 雑誌、広告、テレビ露出が多くジャズを知らない若い層にも届いた
- ジャズの間口を広げた功績が大きい
現在の海外での再評価(特にアメリカ・韓国・台湾)
近年、YouTube・Spotify・レコード再発の影響で世界的に“Japanese Jazz / City Pop”が再評価されている。
アメリカ
- City Popブームの中心
- “Japanese Jazz Vocal”として人気
- “Le Cinema”はプレイリスト常連
韓国
- AOR/シティポップ人気が非常に強い
- 阿川泰子は“都会的ジャズの象徴”として扱われる
台湾・香港
- 1980年代から日本のAOR人気が強く、阿川泰子は“高級感のあるジャズボーカル”として定着
1951年10月16日生まれ、神奈川県鎌倉市出身。文学座演劇研究所にて演劇を学び女優業からキャリアが始まる。文学座の同期には故松田優作がいる。女優時代にジャズ・クラリネットの故鈴木章治を紹介され本格的にジャズ・ボーカリストの道を歩き始める。

ジャケットの印象
『Le Cinema』のアルバム・ジャケットは本人の写真です。アングルよし写真家も相当腕がいい。映画の主人公のような写真。
音の特徴
音圧が低い上に解像度も良くないように聴こえるが、包み込まれるような感覚はボーカルのせいだけだとは考えにくい。曲調とボーカルの魅力を最大限引き出すためのエンジニアの匠の技が散りばめられている。
雰囲気・世界観
フィルム映画の中にいる気分にさせてくれます。
おすすめの聴き方・シーン
全曲洋画作品の主題歌で有名なものばかりです。どこかで聴いたことのある曲なので、できれば真夜中に聴いてほしい曲です。とても優雅な気持ちにさせてくれます。
総評
ゴッドファーザーⅢのエンディングに使われた、Harry Connick Jr.の『Promise Me You’ll Remember』が聴きたくて購入しました。この曲を聴いてから他の曲を聴いて行きました。
オーケストラをバックに壮大に歌い上げています。日本人で英語の曲を違和感なく歌い上げているだけでなく、自分なりに解釈して表現しています。彼女にしかできなかった作品でもあります。
| 曲名 | 映画名 | |
|---|---|---|
| 1 | What’ll I Do? | 華麗なるギャッビー |
| 2 | On The Street Where You Live | マイ・フェア・レディ |
| 3 | My Favorite Things | サウンド・オブ・ミュージック |
| 4 | Up Where We Belong | 愛と青春の旅立ち |
| 5 | Do You Know Where You’re Going To | マホガニー |
| 6 | Fantasia Medley | ディズニーの長篇アニメ3編 |
| 7 | Smoke Gets In Your Eyes | オール・ウエイズ |
| 8 | The Glory of Love | ビーチズ/フォーエバー・フレンズ |
| 9 | Promise Me You’ll Remember | ゴッドファーザーⅢ |
| 10 | Smile | モダン・タイムス |
キャッチコピー
『流石は世界の阿川泰子』
AllMusic評価
| 5 | Masterpiece |
| AllMusicスコア | 評 価 |
|---|---|
| Masterpiece | |
| Excellent | |
| Strong | |
| Good | |
| Average | |
| Mixed | |
| Poor | |
| Very Poor | |
| Awful |





