Scorpions 名盤5選|ハードロック黄金期を代表するアルバムを厳選レビュー

ドイツのバンドなのにドイツ語ではなく英語で歌っています。そして日本公演では日本語で荒城の月を歌ったりもします。風情があるというか本能的にいいと感じるものをどんどん取り入れていくバンドだったのでしょう。

そんなスコーピオンズですが、最初の出会いは40年以上前にNHK-FMの軽音楽をあなたにでした。名盤揃いですが私が好きなアルバムは『ウリ・ジョン・ロート』というギターリストが参加しているアルバムだけです。ツイン・リードギターでグイグイバンドを引っ張っていくアグレッシブさを評価する人もいますが、『ウリ・ジョン・ロート』の情緒豊かなギターに尽きます。

リズム隊、ボーカルともに一流の技術力です。LED ZEPPELINのドイツ版と言ってもいいでしょう。DEEP PURPLEは嫌いだけどLED ZEPPELINは好きだという人ならきっと気に入ってもらえるバンドです。

『ウリ・ジョン・ロート』は1978年には脱退しますが、『Pictured Life』『Speedy’s Coming』のような曲調のものをベースにバラードをやりたかったのかもしれません。『Taken By Force』あたりで既にバンドとの路線の違いを感じていたのでしょう。

西ドイツという時代背景

スコーピオンズが結成された1965年当時、ドイツはまだ東西に分断されており、バンドの拠点ハノーファーは西ドイツに属していた。東西冷戦のただ中にあって、西ドイツはアメリカの強い影響下に置かれていた時代である。アメリカ文化——ジーンズ、映画、そしてロックンロール——が若者の間に急速に浸透していく中で、スコーピオンズはその波に乗った世代だった。

ドイツ音楽業界とロックの立ち位置

ドイツはバッハ、ベートーヴェン、ブラームスを生んだクラシック音楽の本場である。音楽教育も演奏家の育成もクラシックが中心で、ロックという新参ジャンルは長らく「軽薄な娯楽」として音楽業界の主流から距離を置かれていた。レコード会社や音楽評論家のクラシック偏重は根深く、1960〜70年代のドイツでロックバンドが国内市場だけで生き残ることは容易ではなかった。


同時期に登場したクラウトロック(Kraftwerk、Can、Faust など)は実験的・前衛的な方向性でその壁を突破しようとしたが、スコーピオンズはあくまでイギリスやアメリカのハードロックの文脈で勝負するという、より直接的な選択をした。

なぜドイツ語ではなく英語で歌うのか

ドイツ語で歌えばドイツ国内市場向けになってしまう——それがスコーピオンズの判断だったと考えられる。英語はロックの共通言語であり、イギリスやアメリカのレコード会社に売り込むためにも、英語歌詞は事実上必須条件だった。


また、英語の方が歌詞として「ロックらしいサウンドに乗りやすい」という音韻的な理由もある。ドイツ語は子音が連続しやすく、ロックのリズムに乗せたときにどうしてもリズムが重くなりがちだ。それに比べ英語の母音の開き方やアクセントのパターンはロックのビートと相性がいい。


スコーピオンズは最初から「世界に出ること」を目標に据えていた。実際、本国ドイツより先に日本やアメリカで火がついたという経緯がある。荒城の月を日本語で歌い、英語で世界を目指したこのバンドには、生まれた国の制約を最初から飛び越えていこうとする意志があったのだろう。

それでは私が選んだ名盤をご紹介します。

狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー

ジャケットの印象

アルバム『virgin killer』に至っては、アルバムジャケットが少女の全裸姿を採用して発売禁止にまでなっています。ジャケットを差し替えて再販売していますが。

BEFORE
AFTER

音の特徴

話題のアルバムにして1976年リリース。オープニングの『Pictured Life』から飛ばしていきます。スローな曲は7曲目『クライング・デイズ』とラストの『イエロー・レイブン』だけで、徹底的にアクセルを踏み続けた曲ばかりです。

ラストの『イエロー・レイブン』は海の音とかもめの鳴き声から始まる、スコーピオンズの曲で自然の音を取り入れた曲は記憶にないのでとても珍しい曲です。かなり心に沁みるバラードです。

歌も演奏も上手く、音質も録音がいいせいか通常盤で十分です。

雰囲気・世界観

オープニングから疾風のように駆け巡るハードロックなのに、ラストでバラードというただのハードロックで終わらせていないところがグッド。

おすすめの聴き方・シーン

信号と交通量が少ないところをドライブするときに聴いて欲しいです。最高のドライブになります。

総評

ハードロックでありながら、曲がキャッチーなのが多いので勢いで全曲聴けてしまいます。疲れることなく聴けて踊りたくなる演奏です。

おススメの曲

ヒットした曲もありますがヘビーなブルースの感じの曲も素晴らしい。

  1. Pictured Life
  2. Backstage Queen
  3. Yellow Raven

キャッチコピー

『キャッチーなハードロック』

AllMusic評価

4
Strong
AllMusicスコア評  価
Masterpiece
Excellent
Strong
Good
Average
Mixed
Poor
Very Poor
Awful

電撃の蠍団~フライ・トゥ・ザ・レインボウ

ジャケットの印象

人間でもないロボットでもない得体のしれない物体が飛んでいる不思議なジャケット。

音の特徴

オープニングの『Speedy’s Coming』の落ちる感じのイントロから急上昇していく感じのギターフレーズが印象的です。『ヴァージン・キラー』のような疾風感はなく、少しテンポが落ちたハードロックです。

オープニングの突き抜ける爽快感のある曲は、2曲目以降なく聴かせる曲が多くなっています。体で感じてノリたいと思っていた人には残念なアルバムかもしれません。

雰囲気・世界観

ハードロックバンドなのでサウンドを体で感じたいと思っていたのに、心で聴かなければならないバンドでした。

おすすめの聴き方・シーン

家で時間があるときに聴きこんで欲しいです。評価が高いのは『Speedy’s Coming』だけですが他の曲もいい曲が多いです。

総評

1974年リリース。何故かオープニングの曲には売れ筋の曲を持ってくるのが凄い。しかしまだ途上にある感が否めません。

AllMusicにおけるスコーピオンズのアルバムの中で評価の低いアルバムですが、これまでのノリノリの曲調と違うだけで、しっかり制作された曲です。鑑賞用のアルバムだと言いたいです。

おススメの曲
  1. Speedy’s Coming
  2. Fly People Fly
  3. Fly to the Rainbow

キャッチコピー

『まだ模索中』

AllMusic評価

3
Average

In Trance

ジャケットの印象

モノクロで女性なのかバンドメンバーなのか分からないジャケット。それでもタワーレコード池袋店で勧められたアルバムでした。

音の特徴

これまでと違ってオープニング曲がさえない曲で始まります。2曲目のアルバムタイトル曲がシビアでクールな曲で驚かせられる。ベースラインがポール・マッカートニーを彷彿させる出来です。

6曲目あたりからマンネリ感は否めません。9曲目の『炎を求めて』でやっと軽快なロックとなり、ラストの『ナイト・ライツ』はツインギターのインストゥルメンタルですがいいバラード調の曲です。

雰囲気・世界観

散漫な感じで解散する前のバンドといった雰囲気。

おすすめの聴き方・シーン

食後の休憩にピッタリ。

総評

1975年リリース。ノリの良いキャッチーな曲がなくバラードにいい曲がある程度。パットしないながらもラストナンバーはこれまで通りいい感じのバラードで締めくくっている。なぜかALLMusicの評価が高い。

おススメの曲
  1. イン・トランス
  2. 人生は川の如し
  3. ナイト・ライツ

キャッチコピー

『風前の灯』

AllMusic評価

4.5
Excellent

Taken By Force

タワーレコード池袋の店員さんが推薦していただけのことはあります。そしてラストナンバーに外れ無しというのが凄い。どうしてもバラードで締めくくりたいのかも。

ジャケットの印象

晴天の墓地で撃ち合うのでしょうか。

音の特徴

オープニング曲の『Steamrock Fever』はミドルテンポでサビの部分がタイトルになっているのがいい。じっくり聴きたくなるアルバムです。でも少しモタツキ感があるアルバムかな。

雰囲気・世界観

ジャケットは墓地ですが、宗教染みた曲はないです。行き詰った感はあるかもしれない。

おすすめの聴き方・シーン

BGMとして聴くか考え事をしているときに聴くのがベスト。

総評

1977年リリース。墓場のアルバムジャケットが印象的ですが、浮ついた曲がなく大人のロックです。タワーレコード池袋の店員さんが推薦していただけのことはあります。そしてラストナンバーに外れ無しというのが凄い。どうしてもバラードで締めくくりたいのかもしれないですが、アコギの音が切なく響く曲です。

おススメの曲
  1. Steamrock Fever
  2. Your Light
  3. Born to Touch Your Feelings

キャッチコピー

『トンネルは長い』

AllMusic評価

3.5
Good

TOKYO TAPES

ジャケットの印象

相当体が柔らかい人です。普通ならそのまま倒れてしまいます。

音の特徴

オープニングの『All Night Long』からハイトーンボイスで飛ばしていきます。注目すべきは、『Hound Dog』と『Long Tall Sally』という1950年代オールディーズのスタンダードナンバーを取り入れているところです。

もちろんハードロック仕立てでアレンジしております。なぜ歌ったのかと不思議に思っています。このときのライブをリリースするときに著作権料を支払うことになるのだから。

雰囲気・世界観

第二次オイルショック直前のライブで、MCで日本語で語り掛けてくるところが粋ですね。爽快なライブ演出です。

おすすめの聴き方・シーン

嫌なことがあったときに大音量でヘッドフォンで聴いてください。忘れさせてくれます。

総評

これまでご紹介したアルバムのライブ盤にしてベスト盤です。荒城の月を上手な日本語で歌いきっています。相当練習したのではないでしょうか。このライブにはカバー曲も多く楽しめる構成です。

そしてこのライブを最後にギターリスト『ウリ・ジョン・ロート』が脱退します。既にアルバム制作に行き詰り感があったので仕方ないと思います。

おススメの曲
  1. All Night Long
  2. Speedy’s Coming
  3. Kojo No Tsuki

キャッチコピー

『日本を尊重してくれてありがとう』

AllMusic評価

3
Average

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