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- 2026年1月17日
- 2026年6月11日
TDR SlickEQ 無料版と SlickEQ GE の違いを徹底比較|音質・機能・使いどころを解説
子供の頃オーディオのエンジニアを目指しながらも、色盲のため断……

AUDEZE『LCD-3 OPEN-BACK HP』が私にとっての到達点かなと感じていたところに、いつも利用するeイヤホンと対になるヘッドフォンショップ『フジヤエービック』さんが中野にあると知ったので行ってみました。AKGの『K872-Y3』、『K712 PRO-Y3』を試聴させていただきました。
AKGは今は韓国のサムスングループ傘下にありますが、元々はオーストリア発祥のメーカーでエンジニアからも評価の高いメーカーです。eイヤホンで最初に試聴したのも『K712 PRO-Y3』でした。音場も広く音量もあるのでこれにしようと思ったところに、店員さんから同価格帯のSHURE『SRH1540』を勧められて購入した経緯があります。
今回もAKG『K712 PRO-Y3』を試聴して価格の割にいい音していると思い更に上位機種で評価の高い『K872-Y3』を試聴しました。高音がきついので耳が疲れるというのが最初の印象でした。ただ低音の鳴らし方が他社にはない音作りでした。解像度がないという意味ではなく、低音をだんごのようにつまり一塊のように押し出してくるので迫力がありました。口コミで高価だったけど買って良かったというのが散見されましたが、高音域の部分はみなさんどう感じているのかと思いました。試聴機のアンプはエソテリックの100万円くらいするものなのでアンプが悪いわけではないと思います。DAC部分はデルタシグマ型(ΔΣ型)方式なのでこの部分が高音域をきつくしているのかと感じました。
店員さんにも正直に感想を伝え『K712 PRO-Y3』の方が全体のバランスが良く価格的にもコストパフォーマンスが高いと。するとHIFIMANの『ANANDA UNVEILED』を勧められました。シルバーの金属のヘッドフォンで最初どこのメーカーのものか判別できなかったので、メーカーを聞きました。なんとHIFIMANということで2年程度ノーマークでしたが随分進化したと感じました。
初代『ARYA』でボーカルが少し遠く解像度も中央がぼやけていると感じたので、口コミ評価も当てにならないと思いました。そんな風に評価しているなかでのおススメなので期待しておりませんでしたが、試聴するとこれが一番音がいいという結論になりました。音のバランスが自然で高音域も疲れません。価格も7万円台でコストパフォーマンスもいい。念のため上位機種も2機種紹介してもらいました。『ARYA UNVEILED』『HE1000se』で『ARYA UNVEILED』は音全体を一塊のように出してきてまとまりがないように感じました。一つ前のテクノロジーの『HE1000se』はどうかと期待しないで試聴すると、AUDEZE『LCD-3 OPEN-BACK HP』に負けない低音域の迫力と沈み込み、どこまでも伸びていく高音と衝撃的な印象でした。ただ中音域は、AUDEZEと違って少し薄く感じ厚みが足りないと思いました。低音域の迫力、高音域の透明感と青空に吸い込まれるような音の減衰を考えると中音域を厚くすると高音域が隠れてしまうので仕方ないでしょう。
閉店間際まで約2時間試聴を重ね、HIFIMAN『HE1000se』を購入しました。当初2日間は中低音域に物足りなさを感じたのと、DACがHIFIMAN EF400なので抵抗ラダー型(R-2R方式)の影響かフジヤエービックで試聴した高音域の煌びやかさはそれほど強くなかったです。3日目からは、といってもエージング4時間程度ですが、中低音域も大きく改善されました。オヤイデ電気の金木さんに、リケーブルの製作を依頼しているので、それまでの間は付属のケーブルで聴きます。今回は運がよく、この記事を書き始めてから1週間で製品が完成したと連絡がありレビューすることができました。

HIFIMAN HE1000se に付属する4ピンXLRケーブルの導体材質は、「結晶銅(Crystalline Copper)」と「結晶銀(Crystalline Silver)」のハイブリッド(混合)4芯仕様です。
HIFIMAN HE1000seの付属ケーブルは、同社のフラッグシップ機SUSVARA(定価50万円台)にも採用されるかなり単価の高い高品質なケーブルです。HE1000se自体の発売当初価格は39万円前後でした。
3セットも付属していますので結構コストはかかっています。中国だからできることなのでしょう。
HIFIMANは抵抗ラダー型(R-2R方式)のDACに特化していて、その音をベースにヘッドフォン開発をしていると考えられます。このタイプの音質はアナログ調の音で高域の減退に特徴があり丸い音になります。中低域に厚みがあり柔らかい音になります。この特性を殺さずに中域を薄くし高域を少しブーストした味付けのヘッドフォンが今のHIFIMANのラインナップではないでしょうか。
現在主流のΔΣ方式のDACで聴くと、高域が煌びやかできついと感じる方も多いと思います。高域がきついと感じたならば、新シリーズのUNVEILEDのヘッドフォンがおススメです。ANANDAとARYAのUNVEILEDをΔΣ方式のDACで聴きましたが高域が旧モデルよりもカットされたような音です。
前置きが長くなりましたが、XLR4ピンバランス型で聴くと、楽器が手前で鳴りボーカルが少し先で歌っています。低域の量感と沈み込み、高域の天井知らずの音は帯域でいうと中域に窪みを持たせたことで実現しています。そのため中域が薄く感じます。ZARDの坂井泉水の声もとても綺麗に聴こえて、付属のケーブルもありだと思いました。

付属ケーブルは「銀」が入っているため高域の解像感や華やかさに長けていますが、HE1000se自体が非常に高域の伸びが良く、繊細で解像度に寄ったヘッドホンです。
オヤイデ電気製GAIAは、精密導体“102SSC”をベースに銅線表面を天然ダイヤモンドダイスによりμm単位でピーリング加工し、銅線表面を平滑化、さらに不純物を100%除去したものとされています。更に独自開発の絶縁被覆ARK樹脂をケーブルに被せることで次の特性が向上しています。
付属ケーブルと比較して、楽器が少し離れたところで鳴りボーカルが手前に寄ってきた感じです。低域は元々厚く中域は密度が増したが高域が少しカットされた音に変化しました。パンチの効いた音が好きな人にはこちらのケーブルがおススメです。
発売当初は36万円前後していたと記憶していますが、新製品UNVEILEDシリーズに比べれば旧モデルという位置づけになります。それでも音質全般に言えることは、上品で綺麗で丁寧な音が出てくることです。
AUDEZE LCD-3 OPEN BACKがアナログ調で柔らかく太い音で音場も広いのに対して、HIFIMAN『HE1000se』は更に音場が広く、それでも低音が太く量感があり、高域を遮るものが何もないくらい伸びます。
甲乙つけがたい製品に出会えたことに感謝です。ジャンルはJ-POP、ロック、ジャズ、クラシックなんでも鳴らし切ります。特にピアノの繊細で綺麗な音、弦楽器の弦の擦れる感じや胴鳴りもしっかり表現されています。
甲乙つけがたいと感じたAUDEZE LCD-3とHE1000seですが、両機のコスト構造を改めて整理すると、投資の方向性が全く異なることが見えてきます。
| 項目 | HE1000SE | LCD-3 | 優位 |
|---|---|---|---|
| ダイヤフラム | ナノメートル厚の超大型平面磁界型 | HE1000SEより厚め | HE1000SE |
| マグネット構造 | ダブルマグネット(ステルスマグネット、乱流低減特許構造) | 旧世代構造(Fluxor以前) | HE1000SE |
| 振動系 | 超低質量 | 比較的質量がある(HE1000SEほど軽量化されていない) | HE1000SE |
| 張力調整 | 極めて難しい | 張力は HE1000SE ほどシビアではない(製造難度は中程度) | HE1000SE |
| フレーム | アルミ削り出し+複雑形状 | 木製ハウジング(Zebrano/Bubinga)+金属ヨークの組み合わせ | HE1000SE |
| 生産歩留まり | 低い(不良率が高い) | HE1000SEより高い | LCD-3 |
| 音場形成 | 立体的(高さ・奥行き) | 中域の厚みを重視 | HE1000SE |
| 技術世代 | 平面磁界型トップクラス | LCD-4/LCD-5の下位世代 | HE1000SE |
| ハウジング素材 | アルミ削り出し・メッシュ加工 | 高級木材(Zebrano/Bubinga) | LCD-3 |
| 外装の質感 | 加工精度重視 | レザーの質が高く外観コストが高い | LCD-3 |
LCD-3は木材やレザーといった「見える素材」への投資が大きく、外観からも高級感が伝わってきます。一方でHE1000seはナノメートル単位のダイヤフラム加工やステルスマグネットといった「見えない技術・製造難度」への投資が中心です。素材原価だけを見ればLCD-3の方が豪華に感じられますが、生産歩留まりの低さと研究開発コストまで含めた総合的な製造コストでは、HE1000seが上回っていると考えられます。
この違いが、記事冒頭で触れた「LCD-3のアナログ調で柔らかく太い音」と「HE1000seの広い音場と伸びやかな高域」という、両機の音の性格の違いにも表れているように感じます。
通常のダイナミック型と比べて故障や破損のトラブルが起きやすいとされる主な理由は、振動板の構造と素材の極端なデリケートさにあります。
1. 振動板(ダイアフラム)が極限まで薄く繊細
2. 空気圧による損傷(密閉・脱着時のインパクト)
3. プリント配線(ボイスコイル)の剥離・断線
4. 非常に強力なマグネットへの物理的干渉
5. 湿気や異物の影響を受けやすい
振動板(ダイアフラム)とは人間の耳で例えると鼓膜に該当します。鼓膜が破れてしまう可能性のある行動を具体的に列挙しますので絶対にやらないでください。カメラ用のクロスで表面を軽く拭く程度でいいでしょう。汗をかいたまま使用しないとかふけや抜け毛が多い人はナイトキャップを着けてから使用するのが安全です。