リンゴ・スター『Ringo』レビュー|3人の元ビートルズが参加した1973年盤で聴くべき2曲

リンゴ・スターが1973年に発表した『Ringo』は、元ビートルズの3人が曲を提供し、演奏やコーラスでも参加したことで知られるアルバムです。結論から書くと、私がこのアルバムで名曲と呼べるのは「Photograph」と「It Don’t Come Easy」の2曲だけです。残りの曲は、豪華な顔ぶれがなければここまで売れなかったと考えています。

『Ringo』とはどんなアルバムか

『Ringo』は1973年11月2日(米国)にApple Recordsから発売されました。プロデュースはRichard Perryです。

最初に話しておくと、ソロ第一弾のアルバムではありません。リンゴは1970年に『Sentimental Journey』と『Beaucoups of Blues』の2枚を出しており、『Ringo』はソロ3作目のスタジオ・アルバムです。ポップスのスタンダード集とカントリー・アルバムの次に出した、初のロック・アルバムという位置づけになります。

項目内容
発売1973年11月2日(米国)、同年11月9日(英国)
レーベルApple Records
プロデューサーRichard Perry
最高位米国2位、英国7位、カナダ1位
シングル「Photograph」(全米1位)、「You’re Sixteen」(全米1位)、「Oh My My」(全米5位)

米国ではプラチナ・ディスクを獲得しています。数字だけ見れば、文句なしのヒット作です。

元ビートルズの提供曲と参加

このアルバムの最大の特徴は、レノン、マッカートニー、ハリスンの3人が曲を提供し、さらに演奏やコーラスでも参加していることです。4人が同じ曲に揃うことはありませんでしたが、リンゴを含む元ビートルズ全員がアルバムに関わっています。

曲作者元ビートルズの参加
I’m the GreatestJohn Lennonレノン:ピアノ、ハーモニー・ボーカル/ハリスン:ギター
PhotographRichard Starkey, George Harrisonハリスン:12弦アコースティック・ギター、ハーモニー・ボーカル
Sunshine Life for Me (Sail Away Raymond)George Harrisonハリスン:コーラス、共同プロデュース(The Bandのメンバーも演奏に参加)
You’re SixteenBob Sherman, Richard Sherman(カバー)Paul McCartney:マウス・サックス・ソロ
Six O’ClockPaul McCartney, Linda McCartneyマッカートニー:ピアノ、シンセサイザー、コーラス、フルートとストリングスのアレンジ/Linda McCartney:コーラス
You and Me (Babe)George Harrison, Mal Evansハリスン:エレクトリック・ギター

「I’m the Greatest」はレノンが書き下ろした曲で、レノン、ハリスン、リンゴの3人が同じ曲で演奏しています。ベースはKlaus Voormann、オルガンはBilly Prestonです。「Six O’Clock」は、マッカートニーが米国に入国できなかったため、ロンドンのApple Studioで録音されました。

売れた理由は、話題性が大きいと考える

『Ringo』は、同時代のRolling Stone誌が「元ビートルズのオーラを初めて感じさせたリンゴのアルバム」と評した作品です。3人が曲を提供したことが、発売前から大きな話題になりました。

シングルが3曲もヒットしたのは事実です。ただ、私は売上と曲の出来を分けて考えています。このアルバムが売れた最大の理由は、元ビートルズが集まったという話題性だと考えています。実際、聴き終えて何度も繰り返したくなる曲は多くありません。

名曲1:Photograph | 哀愁のあるバラード

「Photograph」は、リンゴとジョージ・ハリスンの共作です。失った恋を、一枚の写真に託して歌う曲です。

哀愁のあるメロディが全体を貫いていて、リンゴの素朴な歌声がその切なさをよく伝えています。ハリスンは12弦アコースティック・ギターとハーモニー・ボーカルで参加し、Jack Nitzscheがコーラスとオーケストラをアレンジしています。1973年11月24日の週に全米1位を獲得し、リンゴ初の全米1位になりました。

このアルバムの中で、曲そのものの力で聴かせるのはこの曲です。

名曲2:It Don’t Come Easy | 8ビートの軽快なロック

「It Don’t Come Easy」(邦題「明日への願い」)は、リンゴが1971年に発表したシングルで、ジョージ・ハリスンがプロデュースを手がけました。ソロ・アーティストとして初めて成功を収めた曲です。

注意したいのは、この曲が1973年のオリジナル・アルバムの本編には入っていないことです。CD再発ではボーナス・トラックとして収録されています。8ビートに乗った軽快なロックで、「Photograph」とは対照的に、湿っぽさがありません。

それ以外の曲について

「I’m the Greatest」は、リンゴ、レノン、ハリスンが同じ曲に揃った記録的な価値があります。「You’re Sixteen」は、1960年にJohnny Burnetteがヒットさせた曲のカバーで、マッカートニーのマウス・サックス・ソロが話題になりました。全米1位になった曲ですが、私が好んで聴き返す曲ではありません。「Six O’Clock」はマッカートニーらしいメロディの曲です。

これらは、参加者を知って聴くと面白い曲です。ただ、参加者の名前を外して曲だけで聴くと、印象は変わります。

まとめ

  • 『Ringo』はソロ第一弾ではなく、ソロ3作目、最初のロック・アルバム
  • レノン、マッカートニー、ハリスンが曲を提供し、演奏やコーラスでも参加している
  • 売れた理由は、元ビートルズが集まった話題性が大きいと考える
  • 名曲は、哀愁のある「Photograph」と、8ビートの軽快なロック「It Don’t Come Easy」の2曲

アルバム単位で聴くより、この2曲を目当てに聴くのが私の勧め方です。

参考・出典


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