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- 2024年4月11日
- 2026年5月8日
Paul McCartney『Band on the Run』徹底レビュー|名盤の魅力と音質評価
1973年リリースのポール・マッカートニー&ウイング……


ジョージ・ハリスンのアルバムが、最新のリマスターで再発売されるということで予約しました。音質的にはHIFISOUNDで申し分ないとは思いますが、やはり曲にヒット性のあるものがないという往年の傾向は変わっていませんでした。ジョージがソロになってから買ったアルバムは、30年以上も前にレコードで買った『想いは果てなく~母なるイングランド』だけです。当時、亡きジョンに捧げた曲『過ぎ去りし日々』についてもヒットしそうな曲がないから話題性を重視したのではないか。
ジョージの才能の価値は、ジョンやポールの個性が強い曲の隙間に収録されてこそ発揮できると思います。ほとんどの曲で押しが弱く平凡な曲が多いことから、ビートルズのアルバムではジョン、ポール、ジョージ双方の曲同士が引立てあうことに成功していたと感じています。
そんなジョージの退屈なアルバムでも、買いたくなったので買いました。
『George Harrison』は1979年2月に出た、ジョージ・ハリスンの70年代最後のアルバムです。レーベルはDark Horse、配給はワーナー。実は、この盤の前に大きな揉め事がありました。
ジョージは1974年5月、自分のレーベルDark Horseの配給について、A&Mと5年契約を結びました。ところがDark Horseの所属アーティストが思うように売れず、ジョージ自身のアルバムも遅れがちで、A&Mは1976年に契約不履行を理由に提訴します。結果、配給はワーナーへ移り、ジョージは新天地で『Thirty Three & 1/3』(1976)を出しました。
『George Harrison』は、そのゴタゴタを抜けたあとの2作目です。肩の力が抜けた、穏やかな作品になっているのはそのせいかもしれません。
Dark Horseの設立は1974年です。ビートルズが1968年に設立したApple Recordsが混迷するなか、ジョージは「才能のあるミュージシャンの受け皿」になる場所が欲しかったのだと思います。自身がプロデュースしていたラヴィ・シャンカールとの東西融合のアルバムもあり、その発表の場としてもレーベルが必要でした。
名前は、ジョージ自身の曲「Dark Horse」から取られています。設立当初はラヴィ・シャンカールやSplinterなどが所属しました。
ジョージと著作権といえば、「My Sweet Lord」の裁判です。1971年、シフォンズの「He’s So Fine」に似ているとして訴えられ、裁判所は1976年8月31日に「無意識の盗作」と認定しました。賠償額は、1976年時点では約160万ドルと算定され、1981年2月19日に58万7千ドルへ変わりました。
ジョージはこの経験を、同年の『Thirty Three & 1/3』収録の「This Song」で皮肉っぽく曲にしました。レーベルの移籍も裁判も経て、1979年のこの盤は、ジョージが少し落ち着いた状態で作った作品だと感じます。
今月発売の2026年リマスター盤を買いました。音質は申し分なく、解像度が高いのに聴き疲れしません。眠れない夜に小さな音量で流しても、音の輪郭が崩れず、とても聴きやすいです。
ジョージの作品は、レイドバック気味の曲が中心のものが多く、通して聴くと退屈になる盤もあります。ですが、この盤は退屈しない曲が多いです。
一押しは次の3曲です。
ジョージのソロ作品は、一度廃盤になると長らく入手困難な状態が続く傾向がありました。1990年代の初CD化や2004年のEMI時代のリマスター(BOXセット『Dark Horse Years 1976–1992』および単体)で再発売されたものの、2014年のユニバーサル時代(『The Apple Years』)は初期Apple盤のみが対象だったため今作は含まれず、配給元の移行に伴って長期間廃盤状態となっていました。2023年にBMGへ権利が移管された後、2025年秋にDark Horse期の旧作CDが一挙再発売されたことで、この『George Harrison』もようやく復刻を果たしたのです。
Dark Horseの配給元は、A&M、ワーナー、EMI、ユニバーサル、そして現在のBMGへと変遷してきました。カタログの権利や配給元が移り変わるたびに、再発売のタイミングやラインナップも大きく左右されます。音楽の聴き方がストリーミング中心となった今、売れ行きの読みづらい旧作CDが今後も定期的に再発売される保証はありません。
今回のリマスター盤は紙ジャケット仕様で、数量限定の日本盤(SHM-CD)です。紙ジャケット仕様の盤は過去に出たものにもプレミアが付いています。再発の機会自体が少ないうえに、紙ジャケットの限定盤は市場に出回る数が限られるため、売り切れたあとに値上がりする傾向があります。この音で聴きたい方は、買える時に買っておくことをおすすめします。
参考